コミック雑誌なんかいらない!

ある朝、新聞を読んでた夫が私に言いました。「ねぇ文春面白そうだよ。ジャニーズ不良列伝だって」

ほんとにねぇ、好き勝手なこと言ってねぇ、嫌よねぇ と、ボソボソとおばあちゃんの独り言ぐらいの小声でかろうじて反論できました。

私の反応みた夫は「あ、この人ガチな人だった」という表情を浮かべ、それ以上そのことについては何も口にしませんでした。

 

(我が家は地方紙朝刊を購読してるのですが、もはや新聞の下部の広告欄は「健康雑誌」「病気関係の書籍」「補聴器」「男性用強壮剤」で埋め尽くされ、購読者層の急激な高年齢化及び近い将来新聞というメディアの消滅を予感させられ毎朝ちょっと切ない。)

 

私がキィー!とならなかったのは、だってジャニーズ好きじゃない人に何を反論しても仕方ないからです。そして、数年前の私だったらなになに面白そう~って話に乗っかってたかもしれない自覚もあるからです。

 

辛くないですか?私は辛いです。

こんなおばさんでも辛いんだから若い人はもっと辛いんだろうなと思う。

頭では「出版社の人はそれが仕事なんだから。雑誌を売るためにこういう話を持ってきてるのだから。」と分かってはいるのですが、それらの記事を見たどこの誰とも知らない人たちに面白おかしく批判されるのが辛い。アイドルに関してはここ数カ月自分の中での軌道修正が必要な部分もあったけど、それは許容誤差の範囲。こんなことで足元すくわれる人たちじゃないでしょう?と言いたい。

 

批判されずにスターになった人はいないのだから。ビートルズだって美空ひばりだってたっくさんバッシングされたのだから。例えが巨大かな?

私だって、他の有名人のゴシップ読むし楽しむことだってある。それは人間というものはもう、そういうものなので仕方ない。

それより、大人になって自分史上最高の熱量でアイドルを好きになって、そうそう、こういう想いを抱くから若い頃誰かのファンになることにのめり込めなかったんだと思い出した。

それは、自分が大切にしてるものは他の人にとってはどうでも良くって、私が大事にしてるものを他人に軽んじられるのがとっても悔しいってこと。

小学生の頃好きだったアイドル歌手、親に「こんなののどこがいいの?くだらない」と言われたのがショックで、なるべく親の前で歌番組を見ないようにしてたこと。親にしてみれば悪気の無いただの大人の感想だったのだろうけど私はとっても悔しくて、また馬鹿にされるのが嫌で嫌で自分の好きなことや、自分の個性やら、色んな事を隠し出したんだったな~とその頃の自分の心象風景を思い出した。自分が子どもを産んでから、どんなに私にとってつまらないテレビやyoutubeでも子どもが楽しんでるなら悪く言ったりするのは止めようと思うくらい、30年以上前の悔しい記憶は鮮明に残ってるのでした。おかげで、ヒカキン(こどもが好きな超有名youtuber)もよく聞くと喋り方は綺麗だし丁寧に解説してるし人気がでるのも分かるわ~と思うほどです。笑

 

私個人の意見として、アイドルがプライベートでしたことで夢を壊されたとは思わなくて。それは私が中年で世の中や人を見てきた経験の他に、もしアイドルの夢ってものがあるとしたら、それはファンの心の中にあるものでアイドル個人が守るものではないな~という気がするからです。

 

3日ぐらい前の夢にシゲが登場して、コンサート会場の楽屋口付近にスタッフの札と観客の札両方下げた私が立っていて、まさにコンサート終えたばかりのシゲがそこを通りかかり10メートルほど離れたところまで歩いていったあたりで私が「シゲー!」と声を掛けたら、振り向き、ぶんぶんと両手を振り満面の笑顔で飛び上がって応えてくれるというものでした。作った笑顔じゃなくってホントに心からの笑顔で、夢がさめて3日たつ今でも幸せです。3日の間に家庭関係で悩むことあったのですが、「夢の中のシゲ」に励まされて乗り切りました。

そんな感じで、もちろん現実のシゲは見ていても、夢の中のシゲを追ってるような、だって絶対個人的にお知り合いになったりすることないんだから、自分の中にシゲ像を作り出しちゃってそこに惚れるのも仕方ないような、こんな素晴らしい幻影を私にくれる実在のシゲ本人に感謝するような、なんかそんな複雑に甘い感情なんですよね。ああ、伝わる自信がない....

 

 

コンサートに行って実在の彼らに会って感じたんですけど、アイドルって大勢の人の色んな気持ちを背負って生きるものなんですよね。「芸能界の光と影」とか言うのってなんか古臭くってあまり好きな切り口じゃないけど、あれだけの肯定や否定を体に浴びるのは大変だなぁって思います。それに世間はジャニーズなら叩いていいって思ってる節あるしね。私はAKBグループやエクザイル系みても「ブサイク!」なんて決して言わないのになぜジャニーズが画面に映ると「えー?カッコ悪いよねぇ?カッコ良くないよねぇ?」ってなんですぐに口にするのか?夫よ!!まぁ、なんかアンチ発言したくなるほどの強大な存在だってことは分かる。私なんか夫に小声で反論する以外何もできないから、CD買ったり彼らの幸せを願いつつブログ書いたりしてるわけですけど。

 

私は聖人ではないので、これからも特に興味の無い有名人のゴシップとか楽しく読んじゃうと思うけど、今感じてることを自分の戒めとして残しておきたいなと思います。私が楽しんでる先にはどういう人の気持ちがあって、何のためにこれを発信してるのか、それは真実なのか、常にそういう自分で考える気持ちは持っていたいな。

 

タイトルは映画『コミック雑誌なんかいらない!』(1986年)より。最近なんかふとこの映画の存在を思い出した。公開前年1985年の実際の出来事を主人公の芸能レポーター扮する内田裕也はじめ、実在の芸能人も沢山出てきて、虚実入り混じった感じの映画なんですけど、数年前見直したらセンセーショナルな印象だったわりにはそれほど面白くはなかった。私は1985年の記憶はっきりあるので(当時のワイドショーはゲスだな~今じゃありえん)と思うけど、テレビがネットに変わっただけで、そのゲスさや卑怯さというのはさらにエスカレートしてますね。