世界のはしっこで「いのちのうた2017」の感想

この番組については色んな人の感想を聞きたいのですがまず自分の感想を記しておきたくて。とりとめなく頭に浮かんだ言葉をメモっておきます。

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原爆と私

私の両親は平和運動に熱心で、実家の本棚には原爆の写真集がありました。私はその本が怖くって。子どもって想像力が豊かだから、その写真集がある本棚の前を通るのすら怖くて。怖いんだけどやっぱり見たくて。本を開いてまた震えて閉じて。被爆者が怨みや苦しみを抱えたお化けに見えました。でもそんな事を思ったり言ったりしてはいけないのだと子ども心に思ってました。

 

新婚のころ、夫が広島に行きたいというので2人で旅行に行きました。大人になって行く人生2度目の広島は親に連れていかれた時と違って、子どもの時恐ろしかった原爆ドームは希望の象徴のように見えました。

ちょうど野球のシーズンで、夕方、家族連れや会社帰りの人たちが連れだってマツダスタジアムに楽しそうに向かっているのを見て、思いました、なんであの人たちが原爆で死ななければならなかったのだろうと。

 

映画『この世界の片隅に』で、空襲で子どもを亡くした女性が終戦玉音放送をラジオで聴いてあっさりとその場を立ち去り、でも人から見えないところに行って子どもの名前を泣きながら叫んでるシーン、映画館で嗚咽を押さえるの大変でした。もう可哀想で可哀想で。あの人たちが死んだり苦しんだりしなきゃいけない理由なんてひとつもないのに。

 

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うたの力

いのちのうた、出演者はそれほど多くなかったのにすごく濃度が高い番組でした。どの歌手もとても良かったです。「長崎の鐘」を歌う新妻聖子さんが、この曲は途中で転調があって後半明るい旋律になるのが長崎の希望を感じるとおっしゃってましたが、まさにそれは歌だからこそ伝わる力だなと思いました。それにしてもオーケストラってほんとに心に響きますね!生歌のすばらしさを実感しました。

 

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シゲの役割

87歳のおばあさまが語る原爆投下の日のこと。上に書いたように私にとっては慣れ親しんだ話のはずが、今日は初めて聴いたように痛々しくショックを受けました。その傍らにシゲがいたから。シゲを通してさらに原爆の残酷さ理不尽さが伝わってきました。

アイドルは媒介となって人と人を結びつけることもできるんですね、アイドルってすごいなぁ。

 

シゲの何事も吸収しようとする心とベースにある素直さ、他人を尊重しようとする態度。育ちのよさが現れてた。自分が充足していないと他人に心を寄せるのは難しいですもんね。

この番組の中でシゲは色んな人を結び付けていました。出演者や一般の方、スタッフ、視聴者、そして戦争で亡くなった方たちも。それはシゲの心の豊かさの表れだと思います。

シゲのナレーションも落ち着いててとても良かったです。歌ってる時や人の話をきいてる表情も柔らかくて。

 

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シゲのあやめ

自分はこうなんだって自分の枠に自分を閉じ込めて、でもその枠は自分で作ったものなんですよね。あやめを作って歌う、枠を取り払ったシゲは人間の可能性は無限なんだって事を教えてくれる。

表現したいことがあることの素晴らしさ。

やりたいことを成功させるのは強い信念とあきらめず続けること。

あやめは色んな解釈が楽しめる歌で、それこそが世界の深遠さを表してる。

シゲが後ろ手に旗を握ってはためかせ、最後暗転するエンディングの余韻が素敵だった。

そしてこれは私個人の感じ方ですが、最初倒れた姿勢のシゲ、薄手の服やぼさぼさの髪が死者(原爆で亡くなられた方)に見えて、そこから生命が再び吹き込まれ起き上がって走り、希望の旗をふってるように感じて感動しました。

 

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NEWSのUR not alone

学生たちが思い思いの服を着て、自由に楽しそうに歌う様子がとても良かった。

午前3時に夫が起きてきて「シゲどうだった?」ときくので一緒に頭から見直しました。UR not aloneで夫は涙を流してました。泣く理由が知りたくってきいたら、「歌聴いてたら涙でてきた」と。歌ってすごいなぁって思いました。NEWSの全身全霊を込めた魂の歌はファンじゃなくても響くんですね。ほんとに沢山の人に聴いてもらいたいです。4人ともみんな良かった!小山君は後ろ振り返って学生たちに呼びかけるような仕草をしててそれもすごく良かったです。

 

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私の日常 

今日は私も夫も仕事休みだし息子と一緒に楽しく過ごそうと思ったのですが、昼は外食しようと思ってた親に対し、息子は家に居たかったみたいで、出かけると言ってもこちらのいうことをきかずゲームをしたがる息子にイライラして口汚く怒鳴ってしまいました。もう夏休みも終わりだしせっかく3人そろった平日の休みだから楽しくしたかったのに....と涙が出てきました。

シゲの勇姿を褒めたくてブログも書こうと思ったのですが、子どもにこんなに腹を立ててる人間が多様性や愛について話すのもなんか違う気がして。

シゲやNEWSの姿を見ると自分も高みに登れる気がして錯覚するんですけど、それは全く別なんですよね。彼らはきっかけや勇気を与えてくれるけど、信念をもって物事を続けていくのは私自身にしかできない。

 

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なかったことになってしまう

いのちのうた見ながら改めてあの頃の親の年齢と今の私の年齢がほぼ同じことに気付き、両親は語り継ぎたかったのだと思いました。

87歳のおばあさまも、辛い体験をずっと秘めてきたけど、私が死んだら無常に訳も分からず死んでいった身内や友人たちがなかったことになってしまう、と80歳過ぎから被爆体験を語るようになったそうです。辛い体験を言葉にするのはすごいエネルギーがいるんですね。

私は子どもの時から「100年後にはどうせみんな死んでるし」って嫌なことあってもそうやって考えて逃れてきたのですが、私を愛してくれる人は私が死んでも存在を覚えていてくれるだろうし死んだらそれまでって思うのも利己的だったかな。せめて、理不尽に死ぬしかなかった人たちの無念さはなかったことにしては駄目だと改めて思うと同時に、自分がいま、生きてることへの実感がわきました。

 

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この番組10年目なんですってね!全国放送が深夜なの勿体無いなー。平和について自分ができることを考える貴重な時間でした。

 

以前はなかなか立ち止まって物事を考えることなかったのですが、NEWSとシゲを好きになって以来、こうして思索するのが自分にとってとても大切な部分になってます。息子と喧嘩して腹が立って自己嫌悪におちいっても、NEWSが差し出してくれるなにか光のようなものを味わうと頑張ろうって力が湧いてくるんですよね…。というわけで、息子とコミュニケーションとってきます!(私に怒られた息子は泣いて部屋に閉じ籠ってましたが、一時間ほどすると自発的に洗濯物を取り込んでくれました。)

 

他のかたがこの番組どう見たか非常に興味あるので感想読むのが楽しみです!