純然たる妄想です!これで忙しい師走乗り切ろうと思ってます。
よかったらどうぞ~☆
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「おりいってお願いがあるんですけど」
最近仲良くなった取引先の女性が言った。
「御社にすごいイケメンいるじゃないですか。あの人と合コンがしたいです!」
イケメン....と言われて浮かんだのは同じ課の加藤君の顔。「イケメン?イケメンなんていたっけ?」と、とぼけてみた。
「いるじゃないですかー!あの金髪の人」「手越くん?」「そうです!あとあの黒髪の….」「加藤くん。」「そうです!」
ほんとうにお願いしたいです!いいですか!と、キラキラした目で見つめられて断れなかった。合コンのセッティングなんてしたことないのに、それでも取引先の女性のリクエストに応えたくなったのは、私も弊社のイケメンを並べて、自慢したい気持ちもあったからだと思う。
まず同じ課の加藤くんに声をかけてみた。
「合コン? この忙しい時期に?いや、 いいです、大丈夫です。」
だよね、、、、そう言われると思った。手越くんは海外出張中だからあとにして….
あ!そうだ!
小山君が現れそうな時間を狙い撃ち。
「えー!合コン!合コンかあー笑」
「加藤くんも来るよ。」
「え、シゲも来るんですか!?意外!」
ごめんよ、加藤君。ダシにつかった。
「シゲも来るならいこうかなー」
「でしょ?女の子みんな可愛いらしいよ。」
まだメンバーもしらないけど、可愛いんだろう、多分。
あと一人欲しいんだけど、と言ったら、増田誘ってみますよ、と小山君。
増田君?彼来るかな?来てくれたら嬉しいけど….
多分大丈夫ですよ 笑。声かけてみますね。と優しく微笑む小山君。なんて頼りになるの!小山先輩って呼びたい!年下だけど!
数日後、ロビーで増田君と会ったら、
「合コン、何着ていけばいいですかね?」と話しかけられた。おお!小山君ありがと!しかも意外と乗り気。増田君はいっつもお洒落だしカッコいいから何でも素敵だよ~。なんか楽しくなってきたな。
出張中の手越くんにはメールをした。「了解です!わかりました!」即返事がかえってきた。さすが仕事の出来る男。
「ありがとうございます!イケメン4ですね!」
取引先の女性からは興奮ぎみのメールがきた。イケメンフォーって 笑
「女子は私入れて3人でいいですよね?」ときかれ、3人?4人じゃなくて?というと、この私を入れて4人だと言う。えっ、私も女子の人数に入ってるの?いやいやいいですよ…私はオブザーバーなんで….。と、あと一人女性を増やしてもらうようにお願いした。
まるでひとつのプロジェクトを完成させるような気持ちになってきた。成功させるぞ!
なのに加藤君は、
「ほんとに行かなきゃダメですか?」と浮かない顔。
「だって向こうは加藤君ってご指命なのよ」
「なんでウキウキしてるんですか?」
ウキウキ?うきうきしてる?
「先輩ももちろん来るんですよね?」
「私?私はオブザーバーとして参加します!」
「オブザーバー 笑」
「そういうわけだから、加藤君お願いね!」
「分かりましたよ。行きますよ。行きますけどね….」
オブザーバーなのに新しい服を買ってしまった会社帰り。セール前の定価で。
あれ?ウキウキしてるな?
ついに合コンの日は来た。
私には分かる、本物のイケメンを前にした女子たちの気合と緊張が。
合コン経験乏しい私でも、フワフワしてるのにピリッとした空気を感じた。良かった洒落た店を予約できて。
そんな空気どこ吹く風で、さすが人間力の高い、本物のイケメンの小山君は、サラダを取り分けようとする女子を優しく制して、優雅にトングで取り分けてくれた。暖房のきいた部屋で、ワイシャツの袖を軽くまくり上げて清潔そうな手首を見せながらエレガントにお皿を回す小山君の仕草に私も思わず見とれてしまった。
取引先の女性が「ヤバいですね、、ほんとに皆さん素敵で、、、ありがとうございます、、、」と小声でそっと耳打ちしてくれた。実は私もこんなに間近で弊社のイケメンフォーと接するのははじめてで緊張しているのだ。
「増田君はこう見えてライフセーバーの資格持ってるし仕事熱心だし、小山君は穏やかで率先して人の仕事を手伝ってくれるし、手越君は明るくてポジティブで、いるだけで周りが和むし、」
なぜか私は弊社イケメンの良さをずらずらと述べ始めた。
「とにかくいいやつらなんです!」
ちょ、シゲはwwwとイケメントリオからツッコミがはいる。
「加藤君は....加藤君は、優しい。」
なんか実感こもってますね!と女性たちからもツッコまれた。なんかあるんですかエピソード。
「いや、特にないけど。」
「ないんかーーい!」
「ていうか、先輩はなんでお誕生日席にいるんですか?」
「私はオブザーバーだからです!」
「オブザーバーってw」
たくさん喋って笑って一通り盛り上がってデザートまで終わった。お店を出たところで、俺ら、明日早いんでこれで失礼します!と言って、小山君と増田君は帰って行き、女の子たちも彼らにつられるように帰っていった。まさかお持ち帰り....とか?大丈夫かな?と去っていく集団を見ていると、
「何心配してるんすか。大丈夫ですよ。ただ帰るだけですよ。」と加藤君が呆れ顔で言った。
えっ先輩心配してるんですか?どっちを?なんで?と、手越君が明らかにワクワクした顔できいてきたので話を誤魔化した。
「ねぇ~なんか俺もうちょっと飲みたい気分~。二人とも付き合って~」と甘える手越君。
お前疲れてないの?海外出張から帰ったばっかりだろ?
「日本酒のみた~い」
はいはいわかったよ、と3人でよさげなお店に入った。
案内されたのはふかふかしたソファー席で、3人横に並んで座った。加藤君を真ん中にして私と手越君。
「なんかこの並び微妙なんだけど。話づれぇな」と加藤くん。
それほど時間が経たないうちに手越君が、ふぁぁ~眠くなっちゃった....と言い出した。
「シゲ....ひざ....」
「なんでだよ!」
と言いながら加藤君は組んでた足を下ろした。
「う~ん、ありがと。急に時差ぼけが来たみたい....」手越君は加藤君のひざに頭をのせて目を閉じた。
しょうがねぇなぁ、と言いながら手越君の体にお店のブランケットをかけてあげる加藤君。
加藤君と私は目を閉じた手越君の顔をじっと見た。綺麗な寝顔....
手越君の髪をそっとなでながら加藤くんは「疲れてんだな...。」と言った。
『見て下さい!イケメンがイケメンをひざまくら!!』
思わず写真をとって取引先のあの女性に送ろうかと思った。
その欲求を押さえるかのように、
「手越君ってほんとにかわいいよね」と、私は口にしてみた。
「いいよな、手越は」
「へ?」
「あ、いや、かわいいなって言ってもらえるっていいじゃないですか。俺もたまには言ってもらいたいですよ。」
あ、もしかして加藤君酔いが回ってきた?
「加藤君も可愛いよ」と私が言うと、
「どんなところが?」ときいてきた。予想外の展開....
「えーと。笑顔とか?」
「笑顔?物理的な話ですか?」
「仕事一生懸命だし」
「仕事するのがかわいいんですか?」
「絡んでくるところはあんまりかわいくない。」
と私が言うと、ぷっと笑って
「俺も眠たくなったーー」
と言って、私の肩に頭をのせてきた。
うわーー、なにこれ。
イケメンがイケメンをひざに乗せながら私の肩に。
加藤君の髪の毛が私の首元に。
「加藤君重い」
「いいじゃないですかー」
「....。」
「....。」
なんだこの静寂と胸のドキドキは。
その時手越君がうぅ~んと寝返りをうった。
「てか、俺トイレ限界!手越ちょっとごめん!」そう言って加藤君はひざから手越君の頭を下ろして立ち上がってお手洗いの方角に行った。
手越君はバチッと目を開けて「シゲと何話してたんですか?」と寝たまま私にきいた。
「なにもだよ。手越君が可愛いって話」
まぁじですかぁ~?とニコニコしながら上体を起こす手越君。
「ねぇ、先輩ってどんな人がタイプなんですか?」
いきなり来るね!別にそんなのないけど、と返すと
「えぇー?なんかあるでしょ?会社の人とか取引先の人とか、いいな~って人が」
「ないよ。」
「かっこいいとか」
「ないって。会社の人は会社の人。取引先の人は取引先の人。配達の人は配達の人。そこから先考えたことないよ....」言いながら自分でもあれ、そんなだっけ、と思った。
「だぁぁぁめですって!!そんなの!」手越君はほんとにビックリした様子だった。「もったいないですよ!ちゃんと見て!」
「じゃ、シゲは?シゲはどうですか?」
「加藤君。。。後輩の加藤君。」
「じゃなくて~。シゲかっこよくないですか?」
「後輩のイケメンの加藤君。」
「ちょっとーー」
「いや、そんなこと急にふられてもわかんないよ!」
「シゲ、頭ちょん。ってしてたじゃないですかー!!肩にちょんって!」
「手越君起きてたの!?」
「くっちゅん!あーでかいくしゃみでたー」
加藤君が戻ってきた。「トイレ、前の人全然出てこないの!やばかった~。手越おはよ。お前風邪ひくなよ。」
同じ会社の後輩の、イケメンの加藤君、いつもさりげなく優しい加藤君....
「完全に目ぇ覚めた!もう一軒いこ!」と生まれ変わったみたいに元気な手越君。「俺はいいけど」と加藤君。行きましょ行きましょ!ちょっと歩きますけどいいですよね?とニコニコする手越君。
「3人で手ぇ繋ぎましょ!楽しいし!」
「はぁなんだよそれ!」
「ほら、シゲ真ん中で。シゲと俺。シゲと先輩。いいねーー!仲良し3人組!あるこーあるこー私はーげんきー♪」
その間私はほぼ無言だった。
「せんぱーい!別にシゲじゃなくてもいいんですよ!相手は!僕でも!」
加藤君と手を繋いだまま、手越君が自分の顔を指差す。
イケメンがイケメンと手を繋いで....
いや、加藤君と私が手を繋いで。
加藤君の手は意外とふわっとしてて、柔らかかった。加藤君らしく、優しい感触だった。
そのまま加藤君に伝えてみたら、夜道でも分かるほどに加藤君は照れた顔をした。
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おしまい☆
イケメンフォーとの合コン、待ってます!