タイプライターズ vol.6(西加奈子さん回) の感想

「タイプライターズ」の第6弾が私の住む地方でも二ヶ月遅れで先週放送されました!嬉しい!面白くって2回続けてリピートしました。その感想をとりとめもなく。

 今回ゲストの西加奈子さん、翌月出産には見えないスマートな可愛らしい方!私より少し年下ですけど考え方とか共感すること多く。30になったばかりのシゲのみずみずしい考え方を羨ましいと感じるあたり、お友だちになりたい!って思いました笑。 又吉さんの「劇場」について、登場人物たちの恋愛が下手くそすぎて私はもうこんなふうには戻れない、自分が失ったものを感じる、とおっしゃってたのすごくよく分かる。

 

初期衝動

シゲが「一作目を書いた気持ちで二作目以降も書きたいと思っている、あの時の初期衝動」と行った時に、西さんが「それは二度と無理。だからこそやる」と言ったのが印象的でした。

どんな仕事でも恋愛でもなんでもそうですけど、最初の気持ちって続かないんですよね。スランプに陥ってマンネリになって、くさって、その要因を自分ではなく環境のせいにしちゃうんですよね。やり方を変えたり工夫をしたり考えたりして乗り越えていくことで人は強くなり、作品も深みを増す。

 

 

見くびられる力

多くのジャニーズタレントがプライベートでもジャニーズとつるみがちなのは、共通の話題がある以外にも、男性アイドルという職業がなかなか他の人には分かりづらいからだと思うのです。「カッコいいな~ジャニーズ」って言われても、その言葉のどこかにやや蔑視や侮蔑を感じるんじゃないかと思うんですよね。

シゲ、「俺が叩かれる日がきた」と処女作「ピンクとグレー」の発売日の朝を迎えたそうですが、『見くびられる力』をジャニーズの子たちは持ってますよね。シゲは今回の撮影日の二日前にも「意外と面白かった!」と言われたそうです。でも相手はそれが失礼だとは思ってないんですよね。

 

顔が良い=苦労してない=人間性が浅い、みたいな方式ですかね?でも逆に、美人=皆から好意を向けられることが多い=性善説を信じる=素直で優しい=性格がいい、って言われますよね?でも、男だと、イケメン=女にチヤホヤされる=調子に乗る=性格悪い、ってなりがちだったじゃないですか。嫉妬かな?(最近は男女ともに「ルックス至上主義」ですけどね)特にジャニーズは、ジャニーズ=巨大な権力=強引なブッキング=実力不足ってなりがち。

でも、わたしたちオタは知ってるわけですよ、影で彼らがすごい努力してることを。キャーキャー言いながらとにかくすごくよく観察してますから。生ぬるい気持ちでアイドルしてる姿ってファンの子はすぐに分かると思うんですよ。

ルックスの良さで一時的にパッと売れても、持続してファンを繋げていくのは、初期衝動が収まった時にもがいてあがく姿だったりするわけです。そしてさらに言うと、何かを表現したくて人に何かを伝えられる人が結局残るのかな~って、シゲの今の輝きを見てると、そう思います。

 

 

アイドルの憂鬱

下北沢を歩く、お金はないけど夢を追ってる風な男の子達とすれ違うとき、シゲは「俺のこと嫌いなんだろうな~」って思うらしいけど、面白いですね。生まれつきハンサムで女子達にキャーキャー言われてる彼らがどんな気持ちなのかって私も想像つかないんですけど、そんな風に思うんですね。容姿も良くて才能が生かせる場があってお金も沢山あって、でも本人は「自分の力だけでここに来れたわけじゃない」ってゲタを履かせてもらったような気持ちに今もなるのかな。そういうところいいなぁ。

 

ずっーとずっとキャーキャー言われ続けることや、私生活を制限されることに対し、1)芸能人の自分に本来の自分を寄せていく、か、2)仕事の自分とプライベートの自分を完全に分ける、という極端な方法で乗り切ってる。従来のジャニーズ事務所のタレントたちはそういう感じに私には見えてました。芸能人として生きることに一種諦めを抱いてるようにみえる先輩たちもそれはそれで魅力的だけど、例えばシゲくらいの若い子たちが、これからどんな新しい芸能人像を作り出すのか、シゲのファンというより、若い子に期待する大人としてそんな風に思います。

 

 

自己陶酔と俯瞰する目

そうしてサラッとアイドル兼作家してるシゲですけど、作家って文字を書いてるだけじゃなくて、ものを考える、自分の考えをまとめる、って時間がすごくかかることだと思うのでまずその時間の作り出し方や自分を客観する力がすごい。

コンサートが一番自分に酔ってる状態って言ってたけど、自己陶酔しながら一方では冷静に自分を俯瞰で見てるときがあって、そこがシゲの魅力的なところだなって思います。目が大きいから感情すごくよく分かるんですよね。あと、私がすごいシゲのこと見てるからよく分かる笑。

例を出して言うと、DVD「WHITE」でSnow Express歌ってるときは陶酔モードで、アンコール前最後の曲Seven Colorsで風船が天井から落ちてくるときは俯瞰モード。ご確認下さい。どちらも素晴らしいシゲです。トロッコにのってファンの近くにいるときも、ふと俯瞰モードになってるときがあって、そんなところに死ぬほどグッときてます。あと、人が一番陶酔してるのって大恋愛してる時だと思うので、シゲのそんな姿をBlu-rayで見せてもらってるのかと思うと震えがくる。は、はやくNEVERLANDがみたい…DVDリリースいつ....

 

 

人生入れ子構造

何かを突き詰めてる職人気質な人が偉いとされがちな日本。私もシゲがマルチタレントって言われるのはシゲの魅力が薄まっちゃうようで、ちょっとやだなぁ~って思ってたのですが、加藤シゲアキという人の生き方を見るのが楽しい、彼の表現するもの全てが見たい、世間がそう思ってきたときにシゲに期待されるのはそういうことなのかな~って思うようになりました。

 

でね、私や西さんがシゲの情熱を眩しく思うように、シゲが下北沢の若者を眩しく羨ましく思って、多分その下北の若者も誰かを眩しく思ってて、そしてこんな事を考えてる私のことも、誰かが眩しく思うんだろうな~、って、人生ってなんか面白いなって思いました。視点を変えてみると気付くことって多いですね。どんな人の人生もそれぞれキラキラしてるのに、本人だけが気付けてないことってあるよな、って、その気付けてなさ含め、愛しいなーって思いました。このことを上手く表したくって「人生入れ子構造」って今名付けましたけど、伝わらなさ半端ない。笑

 

西さんと又吉さんの人柄ですかね、なんかピースフルな回でしたね。又吉さんが最後に「西さんと中村さんに会うと元気でるっーか」って言ってましたけど、私も元気でました。作家の言葉がすいすい体に入っていきました。

 

色々世界情勢とか将来に漠然とした不安を抱くことも多いんですけど、そして自分が何もできないことが暗い気持ちに拍車をかけるんですけど、ちゃんと考えたり、ちゃんと怒ることをしていきたいなって思いました。人生ハッピーなだけじゃないし、暗い部分にちゃんと目を向けるのって大事なことなんだな。

西さんも言ってたけど、年取るとなにか衝撃が走っても、そういうこともあるよねって結局流して片付けがちなので。こだわり続けるって大事だな、少なくとも私は、考えながら生きてくタイプなんだな、って確認しました。又吉さんの「劇場」と西さんの「i」、これから読みます!楽しみ!