以前に書いたものの続きになります。
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なにとぞ温かい目で見守っていただければ幸いです...では。
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シーン7:キャンプ
朝、目が覚めるとシゲはもうテントの外にいた。小型のガスバーナーを手にして「おはよ。ちょうどよかった、これの使い方分かんなくて。どうやるの?」と笑顔できくシゲはいつも通りだった。お湯を沸かして淹れたコーヒーで一息つき、「朝だな~、朝って感じだな~」と遠くを見てしきりに感心するシゲを横目で見る。
同じく山の方を見ながら「男の人と寝て何もなかったのはじめてだよ」って言ったら「俺もだよ」って言われた。「へぇ」と一言返すので精いっぱいで黙ったら「なんかツッコミとかないんだ。まぁいいけど」と言って椅子から立ち上がり背伸びをして「朝だな~!」と山に向かってシゲが大きく言った。
シーン8:帰りの車中
帰りは俺が運転するから、と私が借りてきたレンタカーの運転を代わってくれた。「キャンプ楽しかったな。でも、カレーって、、、あまりにも定番すぎねぇ?」いいのよ、ほっといてもできるんだから。今度は俺にやらせてよ、ちょっと研究したいと言うシゲに、シゲにやらせると色々うるさいからな~と笑う。「これから少し忙しくなりそうだけど、また連絡するわ。」と車を降りるシゲにバイバイと手を振って運転席に座って車を発進させた。
シーン9:回想
なにもないわけではなかった。
「もうちょっと近くに行ってもいい?」
と言われ、いいよと返事したら、シゲは入ってた寝袋の横のジッパーをジジーと下げて、私の隣までズリズリとやってきた。その動作が面白くてフフッと笑ったら、
「なに?ていうか暑いでしょ、もう寝袋じゃ」とシゲも照れ笑いして、
「ん。」と右腕をこちらに出してきた。
「うん、ちょっと暑いかも。冬の登山用だからね、これ。」
と言って私も、自分のジッパーを下げて寝袋から抜け出し、ごろんとシゲの腕に頭を載せた。
天井を見上げながら私は話した。
「こうして寝ると、じかに地面が伝わって。大地に自分が吸い込まれるような気がして、子どものころ、それが怖かったの。地球の真ん中にはマグマがあるって本で読んで。マグマまですとーんと落ちてエンマ様に燃やされたらどうしようとか思って。」
「それって地獄のイメージ?」
「多分。子どもってそういうのに敏感に反応するでしょ?」
「分かる。おれも地獄怖かった。でもさ、キリスト教では、人は原罪を持って生まれてくるけど、キリスト教を信じれば地獄に行かなくても済むんだぜ。」
「へぇ、さすが青学。じゃあ仏教とキリスト教の地獄って違うんだね。」
「そうそう....。 いや、寝ようぜ。夜中に何話してんの?なんか怖いんだけど、地獄の話。」
「そっちが面白そうな話はじめたんじゃん」
と私が反論したら、
「寝よ。」
と言って、両手でわたしをぎゅっと抱きしめた。
そして、しばらくしてから手を離して、私の髪を撫で、
「おやすみ。」
と言った。わたしは夢の中のようなそんな気持ちで腕まくらのまま、いつのまにか寝たようだった。
シーン10:部屋
キャンプのあと、ほんとにシゲは忙しくなった。色々なことがあって、私はなんとNEWSのファンクラブに入ることにした。
朝の情報番組で真剣な顔をする彼をみたらいたたまれなくなって思わず衝動的に調べてそのまま入会してしまった。
あれから連絡はない。連絡とれる共通の知り合いもいないし、こちらから連絡するのはためらう。
そして私は初めて、シゲ、というかNEWSが歌ってるところをちゃんと見た。青い衣装を着たシゲはいつものシゲではなく、カッコ良かった。この人の腕で寝たんだなと思ったけど、まるで幻だったみたいに思う。どんな香りがしたっけ?体温は?覚えてるようで覚えてない。テントの下の土の感触は思い出せるのに。
夏の間の私の仕事はヒマで、残業もせず帰ってきてシゲやNEWSのメンバーがでてる番組をチェックするようになった。これはただのファンじゃないか....と思いながら。いや、友だちなんだから、友だちの助けになりたいって気持ちは当然だと自分に言いきかせながら。
シーン11:電話
夏も終わったころに、シゲから電話がかかってきた。
「もしもし!」と勢いよくでたら、
「あ、俺。シゲ。」と久々の声。
「連絡しないで、ごめん。」
「いいのいいの、そんなこと。大変だったね!」
「心配かけて、ごめん。」
明るくしようと明るいテンションで言ったら、シゲのごめんでさえぎられて、胸がつまって言葉がでなくなった。
「ほんとはもっと早めに連絡しようと思ったんだけど、できなくて。ほんとごめん。」
「。。。。」
「もしもし?」
泣きそうな気持ちをこらえながら、
「見たよテレビ。コンサート良かったね。雨も降らなくて」
「うん、ありがとう」
言わなくても良い気がしたけど続けて言った。
「CD買ったよ。いい曲だった。」でもファンクラブのことは言わなかった。
「え!マジで!ありがとう!」
「うん。今度会ったときやってよ、あのセリフ。」
「やんねーし!」
やっと、いつものシゲになってほっとした。いいんだ、こういうのでいいんだ。
先週見た『カメラを止めるな』の話をして、シゲこれから見るならネタバレはしないでおいてあげるねって言ったら「いや、でも、聞かなくても大体どんな展開か俺には分かるけどね」って言われて、なにそれほんと可愛くないね~って笑った。
シーン12:スタンプ
また連絡してもいい?まだ忙しいんだけど、とシゲは言い、それから時々シゲからメールが来るようになった。
シゲ用スタンプ(シゲ了解、シゲだよ、とか)を導入して使い方の味をしめたのか、スタンプを多用するので私も私の名前が入ったスタンプで返して、その名前スタンプ3ラリーしたぐらいで「喋ろうぜ。。」って折れて文章送ってきて、勝った!と思った。
シーン13:電話再び
でも、キャンプ以来シゲとは会ってない。
実は外でシゲと会うのが怖くなってしまった。人に見られたりするのが。
シゲは「普通にしてればわかんねーよ。俺オーラないし」とか言って私もそんなものかーと思って今まで普通の店でごはん食べたんだけど、もうそういうところに行く気がしない。
だから、シゲが突然
「今日これから時間ある?一緒にメシ食わない?」って電話してきた時、思わず
「え、二人で?」
って言ってしまった。
「なんで?ふたりだとまずい?」とムッとしたようなシゲに、いやそうではないんだけど、と答えたら、
「俺は二人がいいんだけど。」と言われた。
「おれはふたりがいいんだけど」の言葉が頭の中でリフレインしながらお店に向かう。
シーン14:レストラン
確かに『芸能人御用達』みたいなお店だった。「よぉ、久しぶり」と薄暗い中で手を挙げて笑うシゲにほっとして嬉しさがこみあげてくる。
薄暗くて何を食べてるんだか分かんなくて、
「味覚と視覚って関係あるんだね」って私が言うと、
「だよな。キャンプで食べたカレーうまかった。また食べたい。」って言われて胸がきゅんとした。
薄暗いインテリアとかお店のひとの感じとか、私の世界とシゲの世界は違うんだなぁ...って改めて思った。
「夜さ、家のベッドに寝てると、ああ俺、空中に浮いてるなって思うようになったの。あれから。キャンプで地面に吸い込まれる話したろ?」
「うん、したね」
「また連れてってよ、キャンプ」
「わかったよ」
シゲと一緒にいるのに、なんだかさみしくなってカチャカチャとカトラリーの音だけが鳴った。話したいこと聞きたいこといっぱいあったはずなのに。
そして、シゲは私をじっと見てからこう言った。
「俺と会うの怖くなった?」
気持ちを言い当てられて私はハッとなった。
「そういうわけでは、、、でも」
「でも?」
「でも、迷惑になりたくないな、とは、思ってる。」
「ありがとう。いいよ、それで。
もし、しんどかったら、正直に言って。俺は大丈夫だから。」
と言われ、ついに私の目から涙がこぼれてしまった。
「泣くなよ」と言われ、
「泣いてる人に泣くなよって言っちゃいけないの知らないの?」と返したら、
「『せんせー!誰誰ちゃんが泣いてまーす!』じゃないんだから。」と笑われた。それがさも、いつもの日常みたいな感じで切なくてまた泣けてきて、
「だって、シゲがさみしいっぽいこと言うから」
「ぽいってなんだよ。事実だし。」
「もう、やめてよ」
「わかった。もう言わない。でも覚えといてね。」
空気を変えるように『カメラを止めるな』やっと見たわ~!と話題を変えるシゲを見ても、私の心のチクチクは収まらなくてどこかをつつかれたらまた泣きだしそうだった。
シーン15:タクシー
遠回りになるし、いいよ、って言ったけど、いいから、と言われ一緒のタクシーに乗る。大通りに出れば俺んちから直ぐだし、と運転手さんに場所を伝えるシゲ。
このまま終わりになる予感がして、なにか言いたいけど運転手さんの目が気になって、だから思い切って、シゲの左手に右手を置いてみた。そしたらシゲは手を外して、指を絡めてギュッと握ってきた。
思わず顔を見たら、向こうもこちらを見てて、二人でフフッって微笑みあった。手を握られたことより、目を見て笑い合えたことが嬉しかった。
タクシーが私の家の近くに着き、ここでいいから、とシゲを制して「じゃあね!今日はありがとう!」と元気よく言った。「おーまたな!気をつけてな!」
「お仕事頑張ってね!」と言って、後ろを振り向かずにスタスタ歩いた。
気付いたら涙がポロポロと頬を伝っていた。
部屋について携帯を見たらシゲからメールきてた。
「シゲおやすみ」のスタンプ。泣き笑いでまた涙が出た。
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以上です!
ふぅ~ 謎の汗をかいてます、今。
続き↓
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