私的に記念すべき日だったので記録に残したい。
あっくん、佐藤アツヒロさんが座長の舞台『ブラックorホワイト?』を観てきました。
公演が終わって会場近くの大通公園のベンチに座って「子どもを迎えに行くまでちょっと時間あるからここで余韻に浸ろう、、てかあっくんに会ったあとで子どもの迎えって!」って自分にツッコミました。
見るまではちょいちょい中学生の時の自分を脳内に呼び出して「ね、ね、きーてきーて。来週あっくんに会うよ!」って話しかけて「うっそ!まじで!」って言わせるのが楽しくって(32年前私がどんな口調で話してたか記憶にないんですけど。ヤバい!って言葉は生まれてなかったと思う)そんな遊びを一人でしてたので、当日の公演も、中学生の私を連れて見に行くみたいな、まるで亡くなった人の写真を持って参列するみたいな気持ちになるのかなって思ってました。
しかし実際は、中学生の私を召還することもなく、何かの面影をあっくんに探すこともなかったのでした。
あっくんは普通に素敵な46歳の大人の男性で、舞台をみている間に中学生の私は霧散して消えて、ただの45歳の私だけが座席に座っていました。
スーツのズボンにワイシャツという、日常生活で私が毎日見てる恰好をした46歳のあっくんからは、「今日プラスティックごみだよね?まとめて出しといたわ」とマンションのごみ置き場に捨てにいってくれそうな、そんな距離感すら感じて、あっくんの気取りのない優しい性格に加えて、それってつまりすごく役に溶け込んでいるということでもあり。
サラリーマンのパワハラの話、ってこの舞台の内容をきいたとき、それって面白いの?って思いました、正直。しんどそうなテーマにしり込みする気持ちより、あっくんに会いたいって気持ちのほうが数段上だったので一瞬悩んでチケットとったわけですが。
それがとっても良かったんですよ!パワハラの話が!
あっくんはリフォーム会社の本社の課長で、昔お世話になった先輩が支店でパワハラでやり玉に挙がってることに疑念を抱いたあっくんが身分を偽って支店でアルバイトとして働き始めるというのが導入。パワハラ疑惑のかつての先輩はすっかり会社というものに諦めを抱いて毎日お客に謝り続けることでしのぎ、支店の人々は明るく働いてるけど内面では悩みや鬱積があって、というお話。
普通の話でしょ?パンフレットにも(買うつもりなかったのに舞台が良くって買ってしまった!)新橋演舞場でザ・サラリーマンの話ってまずないですよねって演者たちが話してました。
でもこのサラリーマンの話が沁みましてね。仕事への情熱を失った先輩の、自分が恥ずかしいと思う気持ちも仕方ないんだ俺のせいじゃないって飲み込む気持ちも、いいですよねいつも綺麗な服きて自由で楽しそうでって言われるフリーランスの女性が「これは人に信用されるために着ている私の鎧なの!」って言う気持ちも、クレーマーの客の気持ちすら分かってしまって。笑えて泣けて。わかるわかるって。
この話がこんなに沁みるの、私も年をとったってことだなってしみじみしちゃいました。人間の機微や愛らしさが分かるようになったんだなって、この舞台が分かるの、年をとるのも良いもんだなって思いました。
映画はよく見るけど舞台ってほとんど見たことなかったので、こんなに演者と観客の心理的距離感が近いものなのか、こんなに笑い声があがるものなのか!って驚きました。確かに私含め、あっくんもしくは内くん目当てとおぼしき女性の観客が多かったですが、グローブ座のような独特の空気はなくって、穏やかな、心底舞台そのものを楽しんでる空気が漂っててそれもよかったなー。舞台って面白いものなんだな!
あっくんの部下役の内君は、昔のNEWSのDVDでお見掛けするぐらいしか知らなかったのですが、あまりのイケメンぶりに驚きました。ある人が「女性を破滅させるタイプ」と内君のことを称してましたが、まさに、男性版ファムファタールという感じ。身を滅ぼしてもいいから恋愛をしたいと女性に考えさせる何かを持った人だと感じ、内君が一般人ではなく芸能の世界にいることに安堵すら覚えました。足が長くて!声もよくって!
カーテンコールで着ていた背広を脱ぎ、おもむろにワイシャツのボタンを真顔で2つ外した内君、憂いのある表情、恐ろしいファムファタールで最後にえらいもん見た!ってなりました。ぜんぜんセクシーな役どころではないんですよ、なのに。彼はどんどん役者として活躍してほしい、私が見たいし。
見てる間は、どうなるの?どうなるの?ってお話しに夢中で、俳優さんの演技に引き込まれ他に思いを寄せる隙もなく、冒頭に書いたように終わって一休みして、ようやく「32年越しのあっくん」に実感がわいてきました。(あっくんのデビューは1987年、13歳の時)
わー、私あっくんに会っちゃったよ~。信じられない。まさかあっくんに会えるなんて。
自分の力では会えなかった人に、大人になって自分の力で会えた!という喜び。
あっくんと会った感触が意外にしっくりきてたことへの喜び。
過去じゃなかったってことの喜び。
あっくんも私も同じ景色を見ていることへの喜び。
世界は喜びに溢れてるって思って、でも人生って短い!あっくんと会うのに32年もかかってしまった!でも会えたし!おお、そろそろ子どもを迎えに行かなくては。この私が母親とはね。あっくんに会ってすぐに日常に戻る私、ウケる!ってなんか全てのことが可笑しく思えて。人生は短いな、だからこそ楽しく生きたいなって、そう思ってる自分がすごく大人になった気がしてそれも嬉しかった。
舞台俳優のあっくん、カーテンコールで観客に向ってジャニーズがコンサートでするような両手バイバイをしてました。私恥ずかしくて拍手しかできなかったんですけど、最後に幕が上がった時に勇気を出してあっくんに片手でバイバイしてみました。わぁ!あっくんにバイバイしちゃった!って今思い出してもニヤニヤしちゃう~
ほんとに、30年以上たっても「あっくん」と呼ばせてくれて、なによりこうしてステージで輝いてる姿を見せてくれるあっくん、素晴らしいです。会いたかったな、って気持ちを「今、会える!」に実現させてくれてありがとう。
今も信じられない気持ちは続いていて、あっくんの声があっくんだった!と当たり前のことを思い返したりして笑顔になりますが、サラリーマンである私の夫を誘えばよかったなとも思います。あっくんに会えた!だけじゃない、舞台としてとても面白かったので、夫にも見せてあげたかったな。今度また面白そうな舞台ある時は夫と一緒に見に行こうって思いました。
買ったパンフレットを読んでたら最後のほうに松竹の舞台の宣伝ページがあって、歌舞伎座、松竹座、南座、などの漢字の羅列の演目のなかに「少年たち」というタイトルと見慣れたアルファベットの名前がありました。
ジャニーズ、亜流の芸能として考えられることも多かったけど、いつの間にか堂々とした風格を漂わせていて。発生の仕方は特殊でも、エンターテインメントの着地点はほかの伝統芸能をなんら変わることなくて。
そうして、私みたいにすっぽり30年間が抜けてるような人でも、その空白を感じさせずに戻らせてくれるアイドルの吸引力の凄さに改めて驚いてます。
なにより嬉しかったのは、過去のあっくんと照らし合わせるってことをしなくても、あっくんがとっても素敵だったことです。
なので最後に中学生の私のところに、あっくん素敵だった~!って言いに出向きたいと思います。えーいいないいな!って羨ましがれると思うけど、「32年後にね!会えるから!」って言ってばいばーい!って帰ってこようと思います。32年後っていつ!!ってなると思うけど、意外とあっさりやってくるから~。大人になるっていいことだよ~って言い残して。