こんにちは。
前の記事で三浦徳子先生についてコメントもらったら、三浦先生についての考えが止まらなくなったので慌てて記事にします。
三浦徳子(よしこ)・・・作詞家。1977年より活動を始める。特に80年代アイドルに提供曲が多く、松田聖子『青い珊瑚礁』『夏の扉』郷ひろみ『お嫁サンバ』田原俊彦『君に薔薇薔薇…という感じ』杏里『Cat's Eye』など代表曲を多数持つ。
藤原紀香の一回目の結婚式での「恋する紀香は綺麗さ~」でもお馴染みの『お嫁サンバ』ですが、最初に曲だけ聴いた時、なんてダンサブルでカッコイイんだ!と感激した郷ひろみ氏、あとから詞をもらってガックーン!と気落ちしたそうです。 「1、2、3バ、2、2、3バ、 お嫁、お嫁、お嫁サンバー」ですからね、ひろみの気持ち分かるよ。
最近のジャニ的には、【セクゾの一連のトンチキソングの作詞】と言えばこの名前に見覚えがあるでしょう。『Sexy Summerに雪が降る』『ぶつかっちゃうよ』『男 never give up』『Hey You!』タイトル並べるだけだとどんな曲だか全くわからない。なんだよHey You!って。左とん平かよ。ジャニーさんかよ。
特に、『ぶつかっちゃうよ』は2014年度ジャニーズ楽曲大賞で3位に選ばれるほどの人気曲で、その曲の持つ求心力は、優秀なオタたちによりこのように称されました↓
楽曲部門第3位(4238ポイント獲得) | ジャニーズ楽曲大賞2014
(ジャニーズ楽曲大賞、投票者たちのコメントが面白すぎて読んでると時間を忘れる。)
- 電波曲のように中毒性と依存性が高い曲で、 帰宅中に1時間以上リピートしていたことがあります。
- 一度再生したら容赦無く襲いかかるルンルンルルルンルルルルンルン
- 流れてくるスピーカーを二度見するほど歌詞にびっくりした
- 一見ちょっと意味の分からないやばめなタイトルからして期待しかないのに、実際聴いたほうがやばいという期待通りのSexy Zoneクオリティ。
- この曲を嫌いな人なんて、この曲で興奮しない人なんて、いない!
私も初めてこの曲を聴いたときはぶったまげました。そして作詞者の名前見て腰抜けるほどビックリしました。あの三浦徳子?!
三浦先生がおいくつかは存じませんが、多分、70歳ぐらいのはず。なのに『ぶつかっちゃうよ』、この邪気の無さはまるで幼女!恋する気持ちを「ぶつかっちゃう」と表現するセンス!
『お嫁サンバ』同様、曲先行で三浦先生の元に届けられたことと思います。
あら、テンポ早いのね、どういうイメージで行くの?ふんふん。楽しい感じね。ルンルンルンとかどう?あ、ちょっと尺合わないわね、じゃあルンルルルルンルルンルンルンルルルルンルルンルンって長くしちゃう笑?面白いでしょ? You're my bonitaも音足りない?じゃ、「bonitaさーー!」ってさー!って付けちゃおう。うふふ楽しいわね。ノッてきたわ。
みたいな。多分。
思えば三浦先生、昔からそうだった。田原俊彦さんの『君に薔薇薔薇…という感じ』は1982年の曲ですが、タイトルからしてセクゾ感が漂う。曲冒頭2フレーズ目、「肩先触れたアクシデント」をした女性に「結婚したいねとぉーその時ひらめいたぁー」(えらい急だな!)と当時小学2年生の私は思いました。
三浦先生の詞って断定が多め。
恋する女は綺麗さ~(お嫁サンバ)
あー私の恋はー南の風に乗って走るわー(青い珊瑚礁)
嵐を!起こして(嵐の素顔)
オレを好きになれ!(Make my day)
上の3曲は出だし。ツカミはオッケーってやつです。
映画「黒崎君の言いなりになんてならない」の主題歌『Make my day』は、以下のように作られたと思います。
へぇー、ドS男子の話。ドSってサディスト?強引ってこと?じゃあ『俺を好きになれ!』って入れよう。Make my dayはダーティハリーのイーストウッドオマージュね。ドSっぽいでしょー。
ドSってことを「俺を好きになれ!」をサビ最後に置くことで全て解決するこの才能。
と言っても、三浦先生はトンチキソング専門じゃないですからね。松田聖子のデビュー曲からスターダムにのし上げた一連のシングル曲は三浦先生の作品です。(『裸足の季節』『青い珊瑚礁』『風は秋色』『チェリーブラッサム』『夏の扉』)
松田聖子の作詞で有名なのは松本隆の曲ですが、彼の曲と比べると、三浦先生の詞は【等身大の女の子の姿】に焦点が当てられている感じがします。しかも、何か(彼氏や夢や未来)に向かって必死で走ってるような女の子の姿。だから福岡から上京して、上昇志向の強かった聖子ちゃん本人とピッタリ合ったんじゃないでしょうかねー。
対照的に、松本隆の詞は叙情的な風景を感じて聖子ちゃんはその背景の一部というか。私が『赤いスイトピー』(1982年)にあまり共感を覚えないのは、サビの「I WILL FOLLOW YOU あなたについてゆきたい」ってフレーズに代表される、
おまえ、そんなしおらしい女じゃないだろ?!男引っ張ってくタイプじゃん!
という感想が昔からぬぐえないからなんですねー。嫌な子どもでしたねー。
『赤いスイトピー』の一年後に発表された、三浦先生作の早見優『夏色のナンシー』(1983年)では、「あなたの後を ついていくだけの 女の子からは 卒業したみたい」と、ハワイからの帰国子女YOUがアメリカを振りまきながら明るいメロディーにのせて歌う姿が印象的。もしかしたら、松本隆の詞に対抗したのかも....。
あと、三浦先生の詞は情報が少ないというか、割と余白が多くて、その余白を歌い手自身の魅力で補ってるところも好きなポイントです。
去年、Juice=Juiceというハロプロのグループの『Ça va? Ça va?(サヴァサヴァ)』という曲の作詞をしたと聞き、歌詞を見たら「真正面からぶつかる 勇気下さい! 待ち伏せでもなんでも やってみるわ告白!」と、やはりどこか初期松田聖子と繋がるような女の子の必死さと強さを感じました。
男はバカ、女は強気。
三浦先生の歌詞見てると、これで統一されてる気がします。
戦後民主主義教育を受けてきた人って感じがするんですよね~
男女平等!
男女機会均等法以前にバリバリ働いてた女性というか。
あの時代に自分の才能と人脈と幸運でサクセスしてきた女性の強さを感じさせつつ、セクゾの一連の歌詞からは、年齢から来る余裕と遊び心まで感じます。同じく機会均等法以前に活躍した、作詞家安井かずみが加藤和彦と再婚以降、夫との生活を大事にすることでなんとなく寂しい感じの人生になったのと対照的に、、、(…この記事、お若い方ついてこれてます?)
三浦先生は結婚2回されてるので実体験が反映されているのかもしれない笑。
でも、セクゾの曲には『好きだ、バカ。』by健人。的な、(もぉぉ~おバカで可愛いんだからぁ~)的なデレを感じます。三浦先生、年下のバカな男って可愛いですよね!!分かります!!
私がめっちゃ好きなSexyZoneの『Hey You!』ですが、
「恋してるんだよ いつでもこれでも たすけて欲しい時 駆けつけるよボク」からの、サビの「Hey You! 君はハンバーガーで Say So! ボクはスウィーツ 飲み物だけは いっしょにしよう!」ってのが、もぉぉ可愛すぎて可愛すぎて可愛すぎて。ボクって片仮名一人称も、可愛すぎて好きすぎて好きなだけ。
勝手な想像なんですけど、三浦先生も「かっわいいーー!」と自分の詞に悶えながら書いてたんじゃないでしょうか。
光GENJI以来、ジャニーズの作詞からも離れしばらく作詞自体を休んでいた時期もあった三浦先生ですが、急にセクゾの作詞を手掛けるようになったのには何かわけでもあるのかな。親交が深そうな編曲家船山基紀先生の計らいとか、ジャニーさんたっての願いとかあったのかな。でも多分、
セクゾ萌えるわ~!!って三浦先生ご自身のモチベーションによるものかと。おそらく。
以上、三浦先生にリスペクトを込めて断定的な記事を書きました。三浦徳子先生の歌詞の素晴らしさが伝われば幸いです。