「古見さんは、コミュ症です。」の第一話を見て癒されました。
色んな悩みを抱えた同い年の人たちが一ヵ所に集まって長い時間を過ごすという機会は、学校を卒業するとほとんどありません。親の庇護から半分抜け、自分の足で立っていくときに不安があるのは当たり前のこと。丸腰で挑むには世界はあまりにも厳しく見えて、自分の周囲30センチのところでもがいてる、そんな時代は過ぎ去ってみると短くて眩しくてちょっと痛い。
勇気を出して一歩踏み出せば、自分と共に世界は動くし、意外と調和がとれていることに気付いて、生きるのがぐんと楽しくなる。10代の半ばから20代の半ばは、そうやって自分を獲得していく時期なんだな~と思いました。
この世界に自分だけが馴染めてない、口にしちゃうと惨めになっちゃうので言わないけど、多分みんな心の中では同じような気持ちを抱えていたんだろうなと、高校時代のクラスメイト達の顔を思い浮かべました。
わたしは自分のことで頭がいっぱいで、他人を見る余裕もなかったから気付かなかったけど、只野君みたいな子が同じクラスにもいたのかもしれない。
もうちょっとこうしたら楽しくなるよ、ひとりじゃないよ、って友だちが一歩踏み出すのを優しい笑顔で見守っててくれるような子が。
みんながその大事さに気付ける時代になったということですね。
自分だけでなく、人のことや地域のこと、世界のことを考える時代になったということでしょう。
カーテン、木の机、薄いブルーと薄いオレンジに染まった教室の中で黒板に文字を書いていく古見さんと只野君を見ていたら完全に心癒されました。
普通の高校の風景だけど、そこには思春期の殺伐さはなくって、風通しも良くって、羽ばたく準備をする巣のような温かみ。
まっすーの、人の心のなかにそっとなにかを置くような、優しくて温かい歌声はどうしたら世の中にもっと広く伝わるんだろう?と私はNEWSのファンになってから度々考えていましたが、まさかこんなふうに「演技」を介して広まっていくとは考えてもおらず、まさかの展開でした。
同様に、現在他局で絶賛放送中の「ボイス2」で、まっすーが持つ別の局面、強さ、硬質さ、は「まっすーのこのラップや、歌声の猛々しく美しい強さ、はなんとか世にもっと出ないだろうか」と願っていたのが、これもまさか演技で!と、時を同じくしてまっすーの魅力の両面がいきなりバッと世に放出されて、
まさに夢??
2021年の9月のこの状況が夢ではないかと、こんなふうに「増田貴久」が展開していくなんて夢のようだと、古見さんの柔らかな色合いの画面の中で私も夢を見ているようなそんな気持ちになりました。
人は幸せを感じると、ほんとに「夢?」って思うんですね。
夢のようだと、、、
実際寝てる時に見る夢ってそんなにハッピーじゃなかったりするのに、古今東西、幸福な状態を「まるで夢のようだ」というの、面白いですね。それほどこの「幸せ」というものが捉えがたく、言葉で表しにくいものなのでしょう。
(古見さんは古見さんのままで大丈夫ですよ。)という笑顔を浮かべ、「僕が古見さんの友だちになります。」という只野君高校一年生は、ファンに向かって「いつでもいつもここに来て、俺に甘えていいんだよって伝えてあげたいだけなんだ」って歌う*1NEWS増田貴久35歳とオーバーラップしてました。お芝居の役というのは外見だけでなく、俳優の内面からだされる空気によって、役が振動して見ている人に伝わっていくんだなって感じました。俳優になるための特別な訓練をしていない増田さんだからこそ、視聴者が味わえる波動で、それが癒しに繋がってるのかもしれない。
わたしは見終わって、只野くん、透ちゃん、ではない、増田貴久の姿を思い出そうとして、STORYで見たまっすーを思い出しましたが、同じ人でした。高い演技力で演じ分けているけど、同じ人。貫くものは彼の「ピュアさ」。
場所や周囲の人に馴染むために自分の顔や発言を変えていかなきゃいけないプレッシャーを知らず知らず感じている現代人にとって、どこの場でもストレスなく馴染める増田さんのような人は憧れの存在かもしれない。
そのままでいいんですよ、って一歩踏み出すのを根気強く見守るような、時間に身を任せるようなおおらかさを感じて、それが癒しの元かもしれない。コロナがいつ終わるか分からない、終わらないのかもしれない、と先が見えない世界で、ゆったりと変化を待つ、という姿勢こそ、人々を幸せに呼び戻す力があるのかも。
古見さんをみる、優しくて穏やかな瞳は、35歳男性とは思えない澄んだ目をして、その澄んだ目が彼のアイドル人生を通して作られたものだとしたら、やっぱりアイドルって素晴らしい存在だと思いました。
人の殻を破るきっかけをつくってくれるような、そんな特別の存在がアイドルであり、古見さんにとって只野君はアイドルなんでしょう。
まっすーが只野君に選ばれたことの、答え合わせが解けたような気持ちです。
年齢的には大人になって、若い頃の葛藤を懐かしく思い出せるようになったわたしも、またあらたな殻を自分に感じることがありました。若い頃は可能性の広がりに足がすくむけど、年をとると可能性のせばまりに足がすくむのです。
数年前。可能性が狭くなるのは仕方のない事だと自分自身に言い聞かせ、これが殻だと気付くこともなく自ら強固にしようとしていた私の殻。それを破るきっかけを与えてくれたのは、コンサートで歌い踊る増田さんをyoutubeで偶然見つけたことだったのです、実は。だからこのドラマの只野君がほんと、夢??っていう、、
あのときまっすーを見てわたしが感じたことは的を得ていたんだんだなと、そちらの答え合わせでもあった気がしました。
『君はそのままでいいよ』ってありきたりな言葉を響かせるのは「オヤツ代は任せるよ、お腹すかないようにね!」ってものすごくオリジナルな歌詞を作るまっすー・只野君が(いつでもここに来ていいよ)って待っているから。そんな世界に「フンス!」と一歩を踏み出していく古見さんが次週も見れるのが、楽しみで、ほんと夢みたい。
よるドラ
— NHKよるドラ「古見さんは、コミュ症です。」公式アカウント (@nhk_komisan) 2021年9月7日
【#古見さん は、コミュ症です。】
第1話のご視聴ありがとうございました。
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youtubeでNEWSのコンサートのダイジェストが見れます。演技と同じく、歌手としてのふり幅の広さが伝わります。
*1:メンバー4人がそれぞれ考えた歌詞を持ち寄ってつくったNEWS「クローバー」のまっすーのパートより