推しが再び直木賞にノミネートされた日、そして記念インスタライブ

『なれのはて』を読んだ時、今回行けるなって直感したのでそのうち来るノミネートの日を待ってました。直木賞、という単語を使わないでソワソワを伝えてくるTLと、「花」「幸せなことばかり」と匂わせてくる本人のファミリークラブWEB。

 

午前3時。前回一報が入った時間に目覚ましをセットして起きてTLを眺めてるとやはり感じる吉報の予感。よし。と思って再び布団に入り、次のタイマーは2時間後、午前5時、公式発表の時間。むくり、と起きあがりXを広げ、一言呟いてから起床してテレビの前へ。

 

普段は朝テレビをつける習慣がない、そして今年になってますますテレビから距離を取るようになった私がテレビのリモコンを持つのを見て夫が声をかける。

 

シゲが直木賞の候補になったの。

 

前回も同じように言って、そこからコンビニに新聞を買いに行ったんだった。前回と違うのは、夫もついにシゲに会った事。メトロックで。生シゲを見たあとで知る「直木賞候補作家」の味わいは深みを増してるだろうと、勝手に夫のシゲへの距離感を量る。

 

距離感。そう、前回はX、Twitterにシゲたちが現れる前だった。記念に21時からインスタライブします!と本人から告知。信じられない世の中になったものだ。ちっとも予定通りに進まない仕事(自分のせい)にイライラして迎えた21時、スマホの向こう側には自宅の書斎からシゲ。

いやそれは、私がインスタライブやるなら自宅の自室からお送りするのでシゲと同じような画角になるであろう、、、しかしシゲはアイドル。棚一杯に詰まった、シゲの偏愛本棚を背負い、とんでもなく綺麗な素顔で、ジンのソーダ割を作り、カランカランと氷を回し、立ち上がりスウェットパンツのお尻を無防備にこちらにむけて本棚の本を物色するシゲ。

 

流れるコメントを丁寧に拾って、質問に答えたり感想を言ったり、酔ってないからね、と何度も言い、大野先輩とのエピソードも披露し、まだ詳細は言えない作家仕事について話し、問われるまま何冊もおススメの本を紹介し、選考会の待ち会で着るスーツやネクタイをこちらに選んでもらおうとするシゲ。

 

ちょっと店長ー!

 

と、心のなかで叫ぶ私。店長というのは私の美容師さんのことで、今日髪切ったシゲと同じく、私も今日髪の毛を切りに行ったのだった。シンクロニシティではなく、どっちも来週の東京ドームに向けて整えてきたのだが。

電車の中で忙しそうに指を動かす人が、全員、SNS直木賞ノミネートの興奮をぶつけるNEWS担に見えて、2センチほど地上から浮いた状態で美容室にたどり着いた私が、普段ならそんなこと唐突に言わないのだけど髪の毛にカラーリングされてる途中に思わず、

 

私:加藤シゲアキって知ってます?

店長:かとうしげあき?知らないっすね。

 

シゲと同世代でロック好きでお笑いも好きな店長。彼が毎年行くフジロックの話はほぼ”シゲから”として聞いてた私にあっさり届いたストレートな「知らないっす」に、スマホでXを開いてすぐそこにいた、公式アカウントがリポストした「講談社内の貴賓室で『なれのはて』を持つシゲ」の画像を、この人です、見せる。

 

店長は薬剤を塗りながら私の手元をのぞき込み、「NEWSの人?」と訊く。そう、私、この人推してるんです。今日直木賞にノミネートされて朝から大変なんです、といって指でスマホをスクロールしてシゲだらけのXを一瞬披露して、別に私が忙しいわけじゃないんですけどねフヒヒ。と、オタクの口調で言う。ああ、なんか小説書いたりするんですよね、と店長は言った。

 

と、いうやりとりをしてきたので、自宅の書斎の前からもはや神々しい誠実さを放出しながら美しい瞳でこちらを見る世界一のイケメンのインスタライブの視聴者がたったの2万人?シゲは2万人も見てくれてる~!って言ってたけど、こんなん、東京都の人口ぐらいの人が見てないとおかしいでしょうが。どうなってんのよ店長!!シゲ知らないって!と、昼に美容院で飲み込んだ言葉を夜ここではいた。

 

店長山Pのことはよく知ってたので、シゲの知名度の問題だと思われるけど、今日で私の推しが加藤シゲアキということは伝わったし、家帰って奥さんにその話するかもしれない。地道な啓蒙活動偉いね、と家で夫に話したら言われた。そう、同僚に「最近おすすめのイケメンいます?」ときかれれば、「最近は加藤シゲアキですかね」と答え、やはり知らないと言われ、、、ちょっと待って私のリアル周囲で知ってる!カッコいいですよね!本読んだ!って反応されたこと一度も無いんだけどうそでしょ。。。なんなら金子ノブアキと間違われたことさえ。。

 

でも、私も昔は、Hey! Say! JUMPの山田君以外のメンバーの名前と顔全く存じ上げなかったので店長の反応もそれはそうだな。

息子が幼稚園の発表会でJUMPの曲を踊ることになり、それまでHey! Say! JUMPが歌い踊るの見たことなかった私が振り付けを確認するためYouTubeでいろんな動画を見てたらJUMPや他のジャニーズに混じって現れたNEWSに「!!!」となり、沼というか、気持ちとしては崖から飛び降りたり、飛んでるヘリコプターからダイブした感じ。

一番最初に買ったNEWSのDVDで、だるだるのTシャツの襟元で鼻先を赤くして泣いていたシゲを見て、この人には笑っていて欲しいと、思ったんだったと、EXPOツアーでみんなを笑わせようとするシゲを見てその時の気持ちを思い出した。

 

幼稚園生だった息子は中学生になり、私は50代を目前にし、NEWSは20周年で東京ドーム2daysをやる時に、シゲは2作連続直木賞にノミネートされるような作家になっていた。「みんな、ノミネートされると思ってましたとか言ってくれるけど、そんな簡単なことじゃないからね、この半年で出た小説のなかから選ばれるというのは。僕が読んで面白かった本でも選ばれてないの沢山あるし。」ほんと有難いことです、と言うシゲは、繊細で優しい心はそのままに、信じられないほどの偉業を成した。やっぱり店長シゲ知らないってのは!

 

ミステリーのおススメ?最近読んだなかでおススメ?とのおススメを教えてもらいたがるコメントを次々拾って楽し気に本棚の本を何冊も引っ張り出して、これすごい面白かった!おすすめ!と笑顔のシゲは、ほんとに小説が好きなんだなって、その世界でイキイキとしてるのを見ると、やっぱりあの泣き顔が私の脳のメモリーのどこかでちらついて、過酷なアイドル(と私は思う)だけじゃなくこの世界を見つけたシゲほんとに良かったなと思うし、ここまで到達してもアイドルでいること、アイドルとして自分を見ているファンを大事にしてること、その優しさを守ってあげたいと思う。

 

だって剥きだしなんだもんーー!

アーカイブ欲しい、アーカイブ下さい、と求める声を見て、そっかアーカイブか~と、残しますねと言うシゲに、本棚の本の背表紙丸出しの動画、私なら残しておくのためらうなと思う。シゲ部(ラジオ)で親し気な口調で喋りかけられるだけでドキドキして眠れなくなってしまう私にはこのインスタライブのアーカイブなんて”拗らせの素”でしかなくて、さっきもインスタの画面開いたら自宅からお送りする超絶美しい横顔がにゅっと出てきて、ひぇぇぇぇとなった。

 

これ、身近なシゲ担友とよく話すけど、”ファン”になった時点でシゲとの距離は一生縮まることがないので、絶望しながらファンでいる。つらいねしんどいね、でもそれでもファンでいたいと思わせるほどシゲが魅力的だからね。幸せだね。

 

って、辛いのか幸せなのか、漢字も似てるけど、どっち!っていう感情を日々味わいながら生きてる。少し前、シゲが文筆もする女芸人さんと対談した時の2ショットのオフショットがシゲのインスタにアップされて、それがまるで結婚報告の2ショットみたいで、私は長らく考えこんでしまった。この気持ちの持ちようについて。

そのことを話そうと友だちに、「2ショが、」って言いかけたら、あの件ですよね!と即伝わって、良かった私だけじゃなかった、、、と慰めになった。

 

だからあのインスタライブも、こんな素晴らしい人を好きでいるの、好きでいること自体にちょっと凹む、という謎の心情が生まれてきて、この人に全く見合わない、仕事もプラべもダメダメや~、、、この人から与えられた輝き、私も周囲に回していかないといけないのに、、、と考えた結果が、直木賞候補作一気買いして全部読む、という行動になるんでしょうねぇ。ちゃんとした、建設的なファンしてます、と外にも自分自身にもアピールする意味あり。

 

シゲがあまりにも素敵で素晴らしいので、ふと自分の足元見てしまった、そんな「推しが再び直木賞にノミネートされた日」でした。シゲ自身が読んで楽しめる本を書いて評価されたことがとても嬉しいって思いました。ノミネートおめでとうございます!選考会まで楽しみ。

 

宮内さんの『ラウリ・クースクを探して』は後から届く

 

前回の時の記事

yuzukonbu.hatenablog.com