DAY5 旅

割と誰にでもおすすめできるライフハックがあって、土曜日の夜に「明日は月曜だ」と思って寝ることがそれ。すると朝起きて(あーー起きなきゃ。仕事。。)からの(ちがう!今日日曜!キラーーーン☆)がさらに日曜の朝を楽しくさせるという。

 

日曜の朝、まだ家が静かなうちをねらって「できることならスティードで」を読む。シゲの健全な精神性は日曜の朝に良く似合う。精神は健全なのに、文体がどことなく性的なのがシゲの文章の特徴のような気がする。身体を使った仕事をしてるから、目に映ったものを肉体的に鮮やかに切り取る技術にたけているのかもしれない。努力は才能を伸ばす。

 

帯にも「10代より葛藤しながら(略)ある青年作家の道程」とあるが、かいつまんで読んでるうちにシゲのお母さんみたいな気持ちになって(すくすくと育って、、、自立した人間になって、、、みなさんによくして頂いて、、)という気持になった。これは私も息子を育てているからかもしれない。

 

男の子の一人っ子、転勤族、共働き、気付けばシゲの家庭と似てきている。構成だけは。子育てをはじめてからまだ10年もたってないが、子育てというのは正解がないので難しい。愛情と甘やかすは違うし、そろそろ違う方法で息子にアプローチしなければ、と思いつつ時間がどんどん過ぎていく。そんな中で読む、シゲの成長のエピソードはある意味、母としての私の憧憬だ。

 

「可愛い子には旅をさせよ」の言葉通り、人間の成長過程に旅は欠かせないものだと思う。私がシゲという人間の顔と名前を把握したのは2015年の秋だったが、NEWSとの出会いは、2005年にさかのぼる。JALの機内で「チェリッシュ」を聴いた。国際線の長いフライトに飽きて、機内で提供されるラジオのJ-popのチャンネルに合わせたら流れてきた。このキラキラ感はジャニーズならではだな、と何度か繰り返した、という思い出は、2015年以降に記憶箱から引っ張り出してきたもの。

 

その当時は頻繁に海外出張を繰り返していて、今思うと相当カッコいい。しかし仕事に対する責任感に乏しかった。後悔も残るが、もしそうでなかったとしたら、夫にも出会わなかったし息子にも出会わなかったし、シゲにも出会ってないし、チェリッシュを思い出すこともないし、今の私もないのだ。

 

私もまた旅がしたい。

こころのどこかで切実に思う。

これから先、私が一人で海外旅行をすることは、おそらく、もしかしたら、生涯無いのかもしれない。

一人、海外で感じる自由、不安、未来、はいつのまにかどこかに置いてきたのかな。それともまた加齢を踏むなかで再会するのだろうか。

それとも、そういう気持を抱きつつ日常を送ることが大事なのかも。

 

NEWSを好きになって良かったと思うことは沢山あるけど、その一つが大手を振って一人旅ができること。つまり遠征。大手を振って、というのは私の中の意識だけで家族がどう思ってるかは知らないけど、「ファンだから、そりゃ行くっしょ」というのは立派な大義名分で、一人で飛行機や新幹線にのったり、静かで綺麗なホテルのベッドで大の字で寝たり、夜遅くまで友人たちと喋り倒したり、その間水仕事しないから手荒れが改善したり、そういう副産物が「好きな人が歌ったり踊ったり演技したりしてるのを観に行く」ということに付随してくるのだ。遠征最高。世の母親たちに「遠征」を薦めて回りたい。一人旅の充分な理由つけとして「誰かのファンであること」は過不足ない。

 

シゲのエッセイを読むとうずうずしてくる。

バッグに必要なものだけ入れて身軽に旅立ちたい。

帯には「10代より葛藤しながら、旅先で徐々に自らの道を見据えていく。すがすがしい読後感。」とあった。

1,2編を読んだだけでもそのすがすがしさを感じた。そしてその感覚はこれから何年たっても古びていかないんだろうな、とも。これからもシゲの旅の話が読みたいな。そして、それを読みながら私がまた旅をできたら最高。

最高だし、この日々自体が旅なんだと思えることができたら、それはまた最高。

「人生とは旅」いい古された言葉には真実があるのだ。